Last updated: April 2014. Kajiyama             [ 3D printing 目次に戻る ]

ABS樹脂の熱収縮による反り・変形と対策: Helper Disksの使用



一辺47mmの正五角柱(高さ50mm)にHelper Disks(直径30mm高さ2mmの円柱)を配置し製作する..

  1. ABS樹脂の熱収縮による反り・変形と対策

    ・ABS樹脂は熱収縮により模型下層部コーナーで反り・変形が生じる.


  2. この対策の一つは,模型のプラスチック層に温度差が出ないように3Dプリンター内部の温度を高めに維持することである.

    例えば,MakerBot Replicator 2Xはカバーで囲まれているが,断熱性能は低くく熱はカバーを通して外に逃げている.

    造形台は温度を110℃に設定し,製作中の模型を暖めているが,造形台から離れると温度低下が生じている.

    プラスチックを吐き出すノズルの温度は230℃であるが,庫内の温度分布は不均等で30度から40度に低下している.

    230℃で溶かされ伸ばされ造形台に置かれたプラスチックは冷えた庫内で縮まっていく.

    低価格の3Dプリンターは,断熱性能のあるカバーでをさらに全体を覆い,庫内を50度以上にしたいものである.


  3. この対策の二つ目は,模型と造形台との接触面積を増やすことである.

    230℃で溶かされ伸ばされ造形台に置かれたプラスチックは冷えれば縮まってくる.ABS樹脂はその性質が強く表れる.

    造形台に貼ったカプトンテープ(ポリイミドテープ)とプラスチックの間の接着力が,

    プラスチックが冷えて内部に発生した縮めようとする力よりも強ければ,プラスチックの長さは維持される.

    しかしこの接着力よりも,プラスチックが縮まろうとする力が強ければ,造形台から剥がれ,模型は縮み反ってしまう.

    模型が完成し冷え固化するまで,このプラスチック内部で生じた縮む力を小さく分散し造形台に貼り付ける秘策である.

    模型にHelper Disksを追加し,模型と造形台との接触面積を増やし接着力を増加させ縮む力を外に出させない.


  4. Makebot社のHelper Disksの解説

    ABS樹脂の熱収縮による模型下部コーナーの反り・変形を少なくするために,模型と造形台との接触面積を増やす対策である.

    まず,ABS樹脂ではラフト(raft)を必ず設定し,温めた造形台と模型との接触面積を増やしておく.

    ただし,一辺の長さが100mmを超えるとこのラフトも熱収縮により外周部で反り返りが生じる.

    この収縮が生じる方向の接触面積を増やすために,さらにHelper Disksを配置する.図a


    ・赤の円が平面図で示すHelper Disksの配置パタ−ンである.ラフトが模型とくっつけばよいので,Helper Disksは模型にくっつけない.

     ただし,造形台が小さく配置スペースがない場合,場合は,Helper Disksを模型に食い込ませて用い,完成後これを切り取る.

    ・長い模型の場合,Helper Disksによりコーナーの反りは生じなくなるが,中央部に応力が集中して中央部で反りが発生することがある.

     この場合,中央部の外周にもHelper Disksを配置する.図b

    ・模型の高さが10〜20ミリになると,最初にHelper Diskskが反り返ることがある.

     この場合,製作を中止し,応力に必要な接触面積を増やすために,Helper Diskskを拡大して使用する.

    ・CAMソフトウェアMakerBot社のMakerwareでは,「File」->「Example」->「Helper Disks」の中に準備すると便利と言われている.

    Keep Corners Flat With MakerWare’s Helper Disksが公開されている.(2013/04)


  5. Helper Diskの作成と利用.

    ・SketchUpで直径30mm高さ2mmの円柱を作成.これをSTL形式で保存し,「helper_disk30X2.stl」としてHelper Diskの名前を付ける.

    ・CAMソフトウェアとしてMakerWareを使用する場合,モデル追加の「Add」をクリックしHelper Disksを読み込み,造形台に配置する.

    ・さらに直径の大きさは「Scale」をクリックし,模型の大きさや造形台の広さに応じて拡大縮小できる.

    ・このように,Gcodeを作成する過程で,Helper Diskを造形台に配置し熱収縮による樹脂の反りを抑えることを経験する.





  6. 一辺47mmの正五角柱(高さ50mm)を事例に,Helper Disksを付けた場合とそうでない場合のABS樹脂の熱収縮による反り・変形を検討する.

    ・Helper Disksは正五角柱に食い込ませない.1mm離して配置する.



    正五角柱の五つのコーナにHelper Diskを付ける.
    ただしコーナから1mm離して配置する


    正五角柱にはラフトしか付けない.

  7. 3Dプリンターの機種 [MakerBot Replicator 2X] で製作する



    Helper Diskを付けた場合,
    造形台とラフトの間に反りができなかった.
    (印刷時間 1h46m)


    Helper Diskを付けない場合,
    造形台とラフトの間に反りが2か所で来た.

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