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二元配置の実験計画の実験データを分散分析


  1. 二元配置の実験計画あるいは調査計画

    作業を改善するために,2因子(2要因),因子A(原料3種類)と因子B(反応温度4種類)の組み合わせで実験し生産量の変化を検討する.

    この実験計画を表1に示す.この基本表を元にしていくつかの実験が計画される.

    (1) 表1の実験条件の組み合わせに対して,繰り返しがなく「一回だけ実験する」場合と「同じ回数だけ繰り返す」場合を区別する.

      繰り返しのない実験を行えるのは,因子Aと因子B間に交互作用が存在しないとわかっている場合だけに行う実験計画である.

    (2) さらに,実験には失敗が憑き物であり,測定値の欠損により,「因子間での標本数が異なる」場合が出てくる.

    (3) サンプルが因子に対して「対応あり」のブロック化して実験を行う場合がある.誤差の振り分け(枝分かれ)が必要になる.



    表1 原料3種類,反応温度4種類での収率%を検討する実験計画

    原料3種類(因子A・3水準),反応温度4種類(因子B・4水準)の組み合わせ,3x4=12の実験01〜12を考える.

     
    因子A (原料)
    因子B (反応温度) 水準A1(原料1) 水準A2(原料2) 水準A3(原料3)
    水準B1( 80℃) 実験01 実験02 実験03
    水準B2( 90℃) 実験04 実験05 実験06
    水準B3(100℃) 実験07 実験08 実験09
    水準B4(110℃) 実験10 実験11 実験12

    この実験番号をランダムな順次で行い,実験の熟れなどの計画した因子以外の影響が測定値に入り込まないように注意する.

    表1を実験の組み合わせ条件ごとに整理したのが表1-2である.


    表1-2 原料3種類,反応温度4種類での収率%を検討する2因子の組み合わせ

    因子A (原料) 水準A1 水準A2 水準A3
    因子B (反応温度) 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4
    実験の条件 実験01 実験02 実験03 実験04 実験05 実験06 実験07 実験08 実験09 実験10 実験11 実験12



  2. 二元配置の実験計画の「データの構造」と分散分析の手法


    1. 「二元配置のデータの構造」のモデルに対応した分散分析の手法を選択する.


    2. 2因子の対応なし「対応なしx対応なし」 「繰り返しなしの標本数は1」の場合の実験計画と分散分析

      表1の12の組み合わせの実験条件に対して,実験を繰り返さず一回だけ測定を行う.

      このため,因子の組み合わせごとの標本数(サンプル数)は1個となる.表では,測定回数は3x4=12回である.


      繰り返しのない実験を行えるのは,

      ・因子Aと因子B間に交互作用が存在しないとわかっている場合だけに行う実験計画である.


      ・「繰り返しのない標本数1」の二元配置のデータを分散分析することは,

       総変動から,因子A,因子Bによる変動と誤差変動を分離して,測定値への影響を検討することになる.

      ・因子Aと因子B間の交互作用を検討したければ,次の「繰り返しありで標本数は同じ」の実験計画を実行する.

      ・「対応あり」で「標本数は同じ」の一元配置の分散分析と同じとみなす.


      Rの関数:summary ( aov ( 測定値 ~ A + B, data=x ) ) # 「因子A対応あり・標本数が同じ」場合の一元配置の分散分析と同じ書式 


      表2  「因子Aに対応なし x 因子Bに対応なし・標本数は1」の場合の実験計画

      因子A (原料) 水準A1 水準A2 水準A3
      因子B (反応温度) 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4
      実験の条件 実験01 実験02 実験03 実験04 実験05 実験06 実験07 実験08 実験09 実験10 実験11 実験12
      測定値
      サンプル1
      1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回



    3. 2因子の対応なし「対応なしx対応なし」 「繰り返しありで標本数は同じ」場合の実験計画と分散分析

      表1の12の組み合わせの実験条件に対して,実験を数回繰り返す.

      因子の組み合わせごとの標本数(サンプル数)は同じ回数にする.表では,測定は同じ回数で,測定回数は3x4x5=60回である.測定者60名


      「繰り返しのある」二元配置のデータを分散分析することは,

      総変動から,因子A,因子B,交互作用AXBによる変動と誤差変動を分離して,測定値への影響を検討することである.

      測定値に与える測定者の影響が大きくならないように,測定者の選択,実験の順番などをランダムに行うことが前提となる.



      Rの関数:summary ( aov ( 測定値 ~ A * B, data=x ) ) # 二元配置の基本書式


      表3  「因子Aに対応なし x 因子Bに対応なし・標本数が同じ」場合の実験計画

      因子A (原料) 水準A1 水準A2 水準A3
      因子B (反応温度) 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4
      実験の条件 実験01 実験02 実験03 実験04 実験05 実験06 実験07 実験08 実験09 実験10 実験11 実験12
      測定値
      サンプル1
      1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回
      サンプル2 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回
      サンプル3 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回
      サンプル4 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回
      サンプル5 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回



    4. 2因子の対応なし「対応なしx対応なし」 「繰り返しありで標本数は異なる」場合の実験計画と分散分析

      表3の測定をくり返すが,欠損値が出る場合がある.この結果,因子の組み合わせごとの標本数(サンプル数)が異なる.

      表では,測定回数は60-9=51回である.

      ・加重平均値とは、各セルの平均値をそれらのセルのデータ数によって重みづけし平均する.A1が2個,A2が3個の非加重平均値はM=(A1x2+A2x3)/(2+3)

      ・非加重平均値とは、各セルの合計をセルのデータ数によって平均する.A1が2個,A2が3個の非加重平均値はM=(A1+A2)/5


      Rの関数:summary ( aov ( 測定値 ~ A * B, data=x ) ) # 標本数が同じと同じ書式


      表4 「因子Aに対応なし x 因子Bに対応なし・標本数が異なる」場合の実験計画

      因子A (原料) 水準A1 水準A2 水準A3
      因子B (反応温度) 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4
      実験の条件 実験01 実験02 実験03 実験04 実験05 実験06 実験07 実験08 実験09 実験10 実験11 実験12
      測定値
      サンプル1
      1回 1回   1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回   1回
      サンプル2 2回 2回   2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回
      サンプル3 3回   3回 3回   3回 3回   3回 3回 3回  
      サンプル4 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回
      サンプル5 5回 5回 5回 5回   5回 5回 5回   5回 5回 5回



    5. 2因子に対応あり「対応ありX対応あり」 「繰り返しありで標本数は同じ」場合の実験計画と分散分析

      因子の組み合わせと実験の繰り返しの回数は表3と同じであるが,実験者の条件が異なる.

      5人の測定者が因子Aと因子Bの全てを組み合わせた12回の実験を行う.この個人差の誤差を因子から除く必要がある.

      表3の「対応なし」の実験計画は,測定者の個人差が入り込まないように,全ての異なった測定者で行う.

      表5の「対応あり」は,これを表の行ごとに同じ測定者で行う.あるいは行ごとに異なった測定会社で行う場合である.

      このため,「対応あり」は,表の列のデータの順序を変えることはできない.


      Rの関数:summary ( aov ( 測定値 ~ A * B+ Error( S/A+S/B), data=x ) ) # サンプルは因子Bと因子Aに対応ありなので,誤差の指定をする.


      表5 「因子Aに対応あり X 因子Bに対応あり・標本数が同じ」場合の実験計画

      因子A (原料) 水準A1 水準A2 水準A3
      因子B (反応温度) 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4
      実験の条件 実験01 実験02 実験03 実験04 実験05 実験06 実験07 実験08 実験09 実験10 実験11 実験12
      山田さんの測定値 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回
      藤川さんの測定値 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回 2回
      本田さんの測定値 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回 3回
      国実さんの測定値 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回 4回
      安河内さんの測定値 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回 5回



    6. 1因子に対応あり「対応ありX対なし」 「繰り返しありで標本数は同じ」場合の実験計画と分散分析

      因子の組み合わせと実験の繰り返しの回数は表5と同じであるが,実験者の条件が異なる.

      15人の測定者が,因子Bの全ての4回の実験を行う.この個人差による誤差を取り除く必要がある.


      Rの関数:summary ( aov ( 測定値 ~ A * B+ Error( S/A), data=x ) ) # サンプルは因子Bに対応ありなので,誤差の指定をする.


      表6 「因子Bに対応あり X 因子Aに対応なし・標本数が同じ」場合の実験計画

      因子A (原料) 水準A1 水準A2 水準A3
      因子B (反応温度) 水準B1 水準B2 水準B3 水準B4  
      測定者
      水準B1 水準B2 水準B3 水準B4  
      測定者
      水準B1 水準B2 水準B3 水準B4
      実験の条件 実験01 実験02 実験03 実験04 実験05 実験06 実験07 実験08 実験09 実験10 実験11 実験12
      山田さんの測定値 1回 1回 1回 1回 樋口 1回 1回 1回 1回 田中 1回 1回 1回 1回
      藤川さんの測定値 2回 2回 2回 2回 今村 2回 2回 2回 2回 近松 2回 2回 2回 2回
      本田さんの測定値 3回 3回 3回 3回 東郷 3回 3回 3回 3回 池田 3回 3回 3回 3回
      国実さんの測定値 4回 4回 4回 4回 植木 4回 4回 4回 4回 安部 4回 4回 4回 4回
      安河内さんの測定値 5回 5回 5回 5回 竹部 5回 5回 5回 5回 権藤 5回 5回 5回 5回



  3. 二元配置の多重比較

    ・ 二元配置の分散分析は,一元配置の分散分析と異なって,因子Aと因子Bの交互作用の有無を調べることである.

    (1) 因子AX因子Bの交互作用がなければ,因子A・因子Bについて多重比較を検討すればよい.

    (2) 因子AX因子Bの交互作用があれば,因子A・因子B の多重比較は不要になる.


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